<更新>想定を超えるさびの再発・進行。プラントメンテナンスのポイントはスケジュール上での余裕 | KP STREAM | 関西ペイント株式会社 Fri, 08 Mar 2024 04:58:34 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.3.1 <更新>想定を超えるさびの再発・進行。プラントメンテナンスのポイントはスケジュール上での余裕 /kp-stream/insights/9/ Mon, 16 Aug 2021 07:31:57 +0000 /?post_type=insights&p=2018

1. プラント設備での「さび」との戦い

プラント設備の保全、中でも腐食への対応は、施主・管理者にとって常に大きな問題です。
従来の補修工事では特に、塩害など環境からの影響、湿潤面など設備の特徴により、想定以上のさびの再発・進行の早さに悩まされるケースも多く見られています。
予定されていたメンテナンス時期より早くさびが進行すれば、配管に穴が空くなどの大きな問題となる事もあり、その結果、設備の取り替えや大規模な補修が必要となるなど、コスト・時間の大きな損失となってしまいます。

2.メンテナンススケジュールの課題

設備の交換や大規模補修のリスクを避けるために、想定以上のさびの再発・進行の早さが見られた際には速やかな対応が必要ですが、本来予定していなかったメンテナンスの実施には、以下のような問題が生じる可能性があります。

必要な手続きに時間がかかる
(見積もりの取得/社内協議/予算化/稟議/計画作成/その他社内手続きなど)
過去に対応した施工業者の人手不足などにより、必要な時期・期間での施工ができない。
またそのために別の施工業者に発注することで思わぬリスクが発生することも。

このようなプラント保全での課題を踏まえ、関西ペイントでは塗り替え塗装に最適なさびメンテナンス用塗料「ルビゴール」を開発しました。

 

溶剤貯蔵のタンク、配管等でのさび発生箇所の例

3.「ルビゴール」の真価。さびの再発・進行を抑え、余裕を持ったメンテナンスが可能に

関西ペイントの「ルビゴール」は、さびが残る箇所に塗装した場合もさびの進行を抑え、長期の防食性能を発揮します。
従来の補修塗料と比較し時間的な余裕が生まれることで、先述した「手続きに必要な期間」「人手不足による作業時期の制限」など、メンテナンス実施のためのスケジュール上の問題を解決することが可能となります。

このような特徴により、大規模補修の発生リスクを抑制し、メンテナンスサイクルの長期化によるメンテナンス頻度そのものを減少させることで、プラント保全に関するトータルコストを大きく引き下げることが期待できます

ルビゴールを使ったメンテナンス時期のイメージ

 

4.さびが残存する面にも塗装ができて、進行を止める!独自技術でさび発生のメカニズムを根本的に解決

「ルビゴール」は腐食電流(3つの電流パターン)を抑制することでさびの促進を制御する手法を採用した、画期的なさび止め塗料です。
さび発生の根本的なメカニズムである「電流」に対し、独自技術でアプローチ。電流を遮断する成分があらゆる腐食電流をカットし、一般的な塗装と比較しても点さびの発生時期を約1.6倍に延ばします。
また、その後のさびの進行も抑制し続けるため、メンテナンスの推奨期間の長さも約2.2倍に保つことができます。
このように、さびを放っておくと短期間で再発してしまう原因を抜本的に解決することで、長期的な防食性能を実現しました。

 

さび表面の腐食電流が大きくなるとさびの進行が加速

ルビゴールの成分で腐食電流をカットし、さびの進行を止める

「さび発生・促進抑制メカニズム」について詳しくはこちら

ルビゴールは、腐食防蝕学会 技術賞を受賞しました
ルビゴールが、国土交通省 新技術情報システム(NETIS)に登録されました

5.「ルビゴール」の導入事例・試験塗装結果

施工場所:LNG(液化天然ガス)設備 鉄骨架台
施工場所は海岸沿いの立地で、特に海からの風が強く、塩分の影響を受けやすい環境下にあるプラントです。さびが発生した鉄骨架台は素地調整に動力工具が使用できない火気厳禁エリアのため、ケレン作業の負担を軽減する「ルビゴール」をご採用いただきました。

 

 

6.まとめ

プラントメンテナンスや保全計画、その課題解決を目的に開発されたのが「ルビゴール」です。
塗装のみでさびの進行を抑制し、しかも長期的な防食性能を発揮するこの製品は、施主・施工業者ともに多くのメリットをもたらします。

「ルビゴール」採用のメリット

 

  • 施主・プラント管理上のメリット
    • 余裕を持った補修計画・施工が行える
    • メンテナンスの頻度が抑えられる
    • メンテナンスのトータルコストが抑えられる

 

  • 施工業者のメリット
    • 作業員の確保や調整に余裕を持って対応できる事で、施工の取りこぼしを防げる
    • 動力工具を使用した大規模なケレン作業が不要となり、質の高い仕上がりが短期間で行える
    • さび発生までの期間が一般的な塗装と比較し約1.6倍となり、メンテナンス推奨期間も長期化されることで競合業者との差別化が図れる
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事故事例から学ぶ、故障・事故の未然防止策 /kp-stream/insights/7/ Tue, 19 Jan 2021 04:38:53 +0000 /?post_type=insights&p=1982

さびは塗膜による保護機能を損ない設備の耐久性を下げるほか、進行した場合は流出事故などの要因となるため、日頃から懸念箇所を認識して故障や事故を未然に防ぐ必要があります。

本記事では、腐食しやすい箇所を「構造的要因」と「環境的要因」の2点で把握し、実際の事故事例でどういった点に気をつけるべきか学びながら、故障・事故の未然防止策を考えていきます。

1. 見落としがちな「腐食しやすい」箇所

【1】構造的要因

プラントの腐食は全体に均一に進行するものではありません。湿潤状態になりやすい部位や、塗膜品質(防食)の確保が困難な部位で局部的に腐食が進行しやすくなります。具体的には、部材の格点部やタンクの「天蓋」・フランジや溶接による「接合部」・部材の「エッジ部」などです。

【2】環境的な要因

設置環境によって腐食が進行しやすい設備もあります。例えば、海塩粒子の影響を受けやすい環境・紫外線が当たりやすい環境・雨水が滞留しやすい環境などです。

 

こうした箇所以外にも、上述の原因が重なって腐食の進行が早まる場合もあり、要因や懸念箇所を日頃から把握しておくことが大切です。
次章では実際の事故事例についてみていきます。

2. 腐食が原因で起きた事故事例

定期的にメンテナンスが行われていても、腐食劣化による事故は実際に起こっています。その多くは、見落としがあったり点検が不十分だったことが原因です。
ここでは、過去にどのような事故が発生しているのか事例をご紹介します。

 

出典:「高圧ガス事故事例情報シート(神奈川県)」(https://www.pref.kanagawa.jp/documents/15002/551677.pdf

【1】機械・プラントの劣化事例

●配管の保温材下腐食によるガス漏えい

[事象]
「LPG」入出荷桟橋上の保温(冷)材被覆のLPG揚荷配管(2B)のサポート付近にて、陽炎が上がる。当該ラインを脱圧し、ポータブル式ガス検知器にて漏えいを確認したところ「LEL(爆発下限界)」70%を検知した。

[状況]
事故が起こった配管は、数日前にLPG(ベーパ)と窒素ガスで配管内に滞留した液相を押し出す処理を行っていた。
事故後、当該配管に施工されている保温材を取り外して点検したところ、配管サポート部を中心に保温材下腐食による湿食が進行していることを確認。錆削り後、腐食部に最大で直径7mm程度の開孔部が確認された。

[原因]
CUI(保温材下配管外面腐食)による配管外面腐食であり、漏えい部の配管材質はステンレス鋼などに比べて腐食が発生しやすい炭素鋼(STPL)だった。

さらに、板金の劣化により雨水が侵入しやすい状態で、配管サポート接触部を中心に雨水が滞留し、腐食がより進行したものと考えられる。

 

●液化アンモニア導管からの漏えい

[事象]
運河上のガス管橋の液化アンモニア導管から、アンモニアが漏えいした。

出典:「高圧ガス事故事例情報シート(神奈川県)」(https://www.pref.kanagawa.jp/documents/15002/421876.pdf

[状況]
事故後、現場付近を点検したところ、導管の溶接線を中心に約200mmの範囲で外面腐食が確認された。さらに、当該部分の塗装膜のケレン処理により、溶接線近傍の下面に孔食による直径0.8mm程度の貫通孔が発見された。

[原因]

  • 設備管理上

運河上の潮風が当たる厳しい腐食環境の中で、結露等により発生した水分が配管下面に集まったこと、漏洩箇所付近の溶接線の周辺部が設置時および 1989 年の再塗装時に、下地処理を十分に行わないまま塗装を行ったため、塗膜の劣化が他の部位に比べて早まったこと、さらにさび等で浮いた塗膜の内側に水分が浸入して腐食が進み、孔食により漏えいに至ったものと考えられる。

  • 検査管理上

当該導管はガス管橋の歩廊から離れた位置(図 2)に設置されているため、目視点検が十分に行われなかった。また、腐食環境が厳しいにも関わらず、定期自主点検のポイントに選定されておらず、日常および定期自主点検時には地上から確認する程度であった。

【2】付帯設備の劣化事例

 



  • 付帯設備の劣化に起因する労働災害では墜落や転落、踏み抜きなどが挙げられます。

3. 腐食の要因を把握し、点検精度を高める

2章で紹介した事例から、保全担当者が重要視している箇所以外で事故が起こるケースもあることが分かります。事故を未然に防ぐためにも、構造的・環境的要因を把握し、点検箇所や方法を見直して定期的に確認することが重要です。

付帯設備の事故事例また未然に防ぐための対策については、厚生労働省ホームページの「付帯設備の劣化による労働災害を防止するために」が参考になります。

→ 厚生労働省のホームページ (https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000197453.pdf

 

また関西ペイントでは、塗膜調査における台帳テンプレートをご用意しております。

 

 

点検時により詳細に腐食の箇所を把握することで、事故の防止に繋がります。
ぜひご活用ください。

4.CUI(保温材下配管外面腐食)による腐食の進行を遅らせる工法を

CUI(保温材下配管外面腐食)対策には、厚膜で水分や塩分の侵入を遮断でき、さらに耐熱できる工法に限定されます。
関西ペイントでは、CUI対策用のサモスター配管用を使用した工法を推奨しています。

 

 

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腐食が想定以上に進行。その原因は「塩害」では? /kp-stream/insights/6/ Tue, 19 Jan 2021 02:04:29 +0000 /?post_type=insights&p=1974

海から離れた場所であっても、想定以上に腐食が進行している場合「塩害」の可能性が考えられます。
今回は、塩害と海からの距離の関係性、塩分の影響を調べる海塩粒子の付着量の測定法などを交え、塩害対策に繋がる塗料のご紹介をします。

1. 補修までの周期が短くコストがかさむ…実は塩害の可能性

思っている以上に、施設や設備の腐食が進んでいると感じることはありませんか?
それは塩害の影響かも知れません。塩分の存在は、鋼材の腐食を早めます。
腐食が早まると保全計画外のメンテナンスが必要になり、メンテナンス費用以外にも施設や設備の稼働率に影響してコストの増大を伴います。
建築から50年を超えるプラント施設なども多い現在、経年劣化に加えて塩害のダメージを受けている場合もあります。

2. 腐食進行の原因 海岸から離れた場所でも起こりうる「塩害」

●塩害と海からの距離の関係性

塩分は、それ自体が水に溶けやすい性質であり、水溶液は電解質で腐食電流の流れを大きくするため、鋼材の腐食が大きくなります。
さらに海浜では高湿度のため、濡れる時間が長くなることも腐食しやすい要因です。

●内陸施設でも塩害による腐食が発生

海塩粒子の付着によって生じる腐食は、海岸からの距離と強い関係があると言われています。
海塩粒子は海からの風によって運ばれ、細かい浮遊化した海塩粒子は軽い為、遠くまで飛ばされて雨が当たらないところに留まります。
このような場所・条件では、塩害が起こりやすくなります。
また、海岸から離れた内陸の施設においても、台風などの強風により、海塩粒子が飛来します。
この飛来塩分は、設備の水平面、部材の裏面など、雨水によって流れ落ちにくい部位、いわゆる雨掛かりではない場所に滞留することが多くあります。
また、諸説ありますが、鉄塔の上などの高所は細かい粒子が落ちずに留まり、さびに繋がりやすくなります。

3. 塩害の有無を把握する簡易測定法

塩害対策として適切な補修や処置を行う前に、腐食の原因が「塩分」か判断するため、海塩粒子付着量を確認する必要が出てきます。
測定方法としては各種ありますが、ここでは簡単に手に入る材料で比較的、手軽に実践できる「海塩粒子付着量の簡易測定法」をご紹介します。
今回ご紹介した「海塩粒子付着量の簡易測定法」は、特別な機器を使わないため比較的、手軽に実施出来ます。

 

一般的に塗装においては、50mg/㎡以上を塩害の目安としております。
より高精度な測定・調査については関西ペイント社へお問い合わせください。

●ガーゼ拭き取り塩化物イオン検知管法を用いた海塩粒子付着量の測定

【測定に必要な物】

 

  • 脱イオン水(または蒸留水) ※1個所の測定に150cc必要です。
  • 局方ガーゼ:30×30cm ※1個所につき3枚必要です。
  • 薄手のゴム手袋(炊事用・手術用等)
  • 幅20mm程度のマスキングテープまたはマグネットシート
  • メジャー
  • ポリビーカー:250ml
  • 北川式 塩素イオン検知管(Cl-)

関西ペイント社へお問い合わせください。

●試料の採取方法

 

  1. 測定部をメジャーにて0.25平方メートル(※)を正確に測り、マスキングテープ(またはマグネットシートにて仕切る。※例:50×50cm等
  2. ゴム手袋をして【脱イオン水100ml】を250mlポリビーカーに入れる。
  3. ガーゼをたたみ、ポリビーカーの水で湿らせる。
  4. 湿らせたガーゼで測定面を平行方向に拭う。
    !この時、外にはみ出さないよう、水をたらさないよう十分に注意すること。
  5. ガーゼを(2)の脱イオン水でよくすすぐ。
  6. 拭う方向を変えて(4)(5)の操作を繰り返し行う。

※飛来塩分は、設備の水平面、部材の裏面など、雨水によって流れ落ちにくい部位に滞留することが多く、各部位ごとにランダムに計測することが望ましい。

 

※採取後、使用したゴム手袋の表面を【残りの脱イオン水50ml】でよく洗い、ポリビーカー内の脱イオン水を150mlとする。

●測定方法

検知管の両端(a・b)をヤスリで切り取り、先ほど作った試料液の中に検知管の一端(a)を入れる。

すると試料液は下端(a)より次第に進入し、上端にいたるが、その際、試料液中に塩素イオンがあれば、下端より白色の変色層ができる。

試料液がガラス管内の検知剤の上端(綿栓)まで浸透したら、検知管を取り出す。図を参照に、検知管の濃度目盛りと変色層の境界で読み、測定値とする。(塩素があれば、着色層が茶色→白に変色する)

 

たとえば、本測定法によって100ppmの塩素イオン濃度がでれば、これがそのまま塩分の濃度(=100mg/m2)の数値ということになる。

4. 塩害対策には腐食の進行を遅らせる工法を

塩害対策としては、腐食の進行を遅らせる工法の選択が重要であり、さびの発生源である水分や塩分の侵入を遮断できる厚膜型の塗装がポイントとなります。
関西ペイントでは厚膜塗装が特徴で工程短縮にもつながるエスコNBマイルドHを使用した工法を推奨しています。

 

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目視こそ保全の要。塗膜調査における観察ポイントとは /kp-stream/insights/8/ Tue, 17 Nov 2020 07:00:45 +0000 /?post_type=insights&p=2006

塗膜はさまざまな要因によって日々劣化が進んでいます。こうした塗膜の現状を把握するために行なわれるのが「塗膜調査」です。
大型プラントの場合、こうした塗膜調査を含めた調査・補修は、事前の保全計画に基づき定期的に行なわれますが、それに加えて保全担当者の「目視」による日常的な塗膜検査も推奨されています。保全担当者の現場巡回による目視調査は、欠陥部分を早期に発見し、補修時のコストや工期を少なく抑えられることができるため、長期防食や効率化の見地からも優れた方法といえます。
また、小規模施設やプラントにおいては、そもそも定期的な調査が不足しがちになっているため、大型プラント以上に保全担当者の目視による塗膜調査が重要です。

そこで今回は、目視調査をどのように行なうのか、その観察ポイントと結果から導き出される最適な塗替え時期の判断について紹介していきます。

1. 塗装の劣化要因と保全担当者による目視調査の重要性

大型の鋼構造物は、内的要因・外的要因等、さまざまな要因で劣化が進行します。特にプラント等、外に設置されている構造物は、天候や周辺環境の影響を受けやすいので注意が必要です。

たとえば、光(紫外線)および酸素による塗膜の樹脂成分や顔料成分の化学分解作用は、塗膜の光沢保持性や変退色に大きな影響をおよぼすとされており、さらにここに水や熱の影響が加わわれば、劣化スピードはさらに促進します。
主な劣化要因は、以下の通りです。

こうした塗膜の劣化やはがれを早期に発見し、適切な維持管理を実現するために行うのが「塗膜調査」です。早期に塗膜の欠陥を発見し、適切な処理を行なう事は事故の予防、補修経費のコストダウンにも繋がります。
また塗替え前後の塗膜の状態を正確に把握することで未来予測・長寿命化など、長期的なプラント維持管理の計画が可能となります。
次章では目視調査の具体的な手順について紹介していきます。

2. 目視調査における観察ポイント

調査員の眼により比較的広い面積を確認できる目視調査に対して、計器による測定は一度に小面積しか測定できません。正確な測定結果を出すためには、計器で測定結果を増やす必要があり、非常に手間がかかります。逆に測定個所数を省略すると、判断材料が不十分になってしまいます。そのため計器による測定は目視調査の補完と位置づけます。
一方で調査においては「統一的な見解に基づいた妥当な判定」が下されることが求められており、計器による調査と異なり、調査員による個人差が現れやすい点が目視調査の問題でもあります。
そこで個人差をできるだけ排除するために、各種の標準図が作成されています。
目視調査において最も簡便な方法は、さびや塗膜の破損状況を確認することです。
これに加え、はがれ・白亜化・割れなどの状況を把握し、塗替え時期の判定基準とします。
図表:「関西鋼構造物塗装研究会 資料」をもとに関西ペイント株式会社 作成

■目視調査のための各標準図

【1】さび

さびの状態は、標準図および発生面積に基づいて評価します。
ただし、さびが部分的であったり偏っていたりすることで、上記の評価を用いても判定が難しい場合、また、塗膜調査に不慣れな場合などは実物の写真を使って評価し、さび発生面積を推定、それを標準図と照らし合わせます。

 



 

【2】はがれ

はがれの状態は大きさによって、小はがれ・大はがれに分類されます。はがれのあるものは、標準図に基づいて評価します。

 

【3】白亜化(チョーキング)

塩分は、それ自体が水に溶けやすい性質であり、水溶液は電解質で腐食電流の流れを大きくするため、鋼材の腐食が大きくなります。さらに海浜では高湿度のため、濡れる時間が長くなることも腐食しやすい要因です。

 

【4】割れ

割れの状態は「線状われ」「鳥足状われ」「不規則われ」の3種類に分類され、それぞれの標準図に基づき評価します。



 

【5】膨れ

膨れの状態は標準的にはさびの標準図を利用し、下記の表に基づき評価します。
また膨れを破って、膨れの発生がどの層であるかを確かめ、記録しておきます。

 

 

※ただし、割れ・膨れについては、遠くからの目視では正確な評価が難しく、また重防食塗装系塗膜が一般塗装系と比べて塗膜性能が格段に高いため、目視により適格に状態を把握することは困難です。
定期点検において、塗膜の一部を採取して塗膜中の亜鉛末の状態を観察する方法などを検討し、目視調査ではさび評価により塗膜にさびの発生がなければ、防食下地のジンクリッチペイントは健全であると判断します。

こうした標準図に基づき、場合によっては各評価を組み合わせて劣化度判定を行なっていくことで、より総合的かつ正確な考察を行なうことが可能となります。

 



 

また、調査では防食機能の維持が軸となりますが、周辺環境によっては景観や美観についても考慮します。そういった場合は、変退色や汚れも点検項目に追加していきます。

 

  • 変退色

初期の色に該当するカラーカードを準備し、比較することで変退色の程度を評価します。

 

  • 汚れ

塗膜表面の汚れを水または洗剤を用いて10×10cmの面積をふき取り、その洗浄面と周囲の汚れた面との差を4段階で評価します。

■目視調査を行なう場所

目視調査は、既設足場や地上からの遠望により外観全体を広く観察します。

化学プラントでは、保温材の不連続部や外装板の腐食・損傷部等、CUIの発生しやすい場所における外観を特に注意深く観察する、といったように、プラントの特性に合わせて、重点的に観察する箇所を変更することも必要です。
下記表:「目視点検のマニュアル等」(総務省消防庁)
https://www.fdma.go.jp/singi_kento/kento/2019/03/30/items/02_h310130_shiryo2-1.pdf
をもとに関西ペイント株式会社 作成

3. 調査から導き出される最適な塗替え時期とは

前章で紹介した目視調査の他、計器による調査や必要な塗膜調査を行なった後、そのデータをまとめ、結果に基づき塗替え時期や塗装仕様を決定していきます。

 

前章の調査結果を下記の塗膜管理台帳に入力いただくと、劣化度の判定が可能です。


塗膜調査台帳ひな形ダウンロード(excel)

 

A:塗膜は健全な状態
B:損傷や劣化が認められるが、塗膜は防食機能を維持している状態
C:部分的に損傷や劣化が生じ、塗膜は一部防食機能が損なわれている状態
D:全面的に損傷や劣化が進行し、塗膜は防食機能が失われている状態
このように塗膜調査の方法や評価等、一定の基準が設けられていますが、塗膜の塗り替え時期は美観への配慮やその施設がおかれる環境、コスト・工期等、さまざまな事項を複合的に考慮した上で判断されます。
表と照らし合わせた評価点だけにこだわらず、担当するプラントの状況を鑑みながら判断することが大切です。

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