濡れたプラント設備にそのまま塗装できる塗料「ウルティモ」 | KP STREAM | 関西ペイント株式会社 Wed, 06 Mar 2024 10:32:57 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.3.1 濡れたプラント設備にそのまま塗装できる塗料「ウルティモ」 /kp-stream/insights/10/ Thu, 18 Mar 2021 07:50:42 +0000 /?post_type=insights&p=2025

1. 濡れている設備の腐食課題

プラント設備は、その特性や設置している環境によって、さまざまな環境負荷がかかっています。
特に、低温のガスが通る配管や気化器、海水を導入する復水器、空調機器を支える架台、貯水施設の付属物など、絶えず水分の影響を受けている設備は意外と散見されます。

それにも関わらず、的確な防食方法が少ないことから、腐食がすすんでも放置せざるを得ない、若しくは次回の大規模修繕や定期点検時に設備の運転を止めて、設備が乾燥できるタイミングまで待たざるを得ないケースが多くあります。
また、降雨後に無理やり塗装したために、濡れムラが出来たり、塗装後たった一ヶ月でサビが出てきたりというケースも困り事としてお聞きします。

このような状況が想定される場合、 次のような課題があるのではないでしょうか?

プラント設備: 湿潤環境阻止のための、設備停止。
商業ビル屋上空調回りなどの建築鉄骨: 完全養生や強制的な乾燥。
洋上構造物、山間部などの湿潤した土留め鉄骨: 大規模養生や水洗後の養生時間

 

結露水等による比較的薄い水膜下は、単純に没水している箇所よりも酸素の供給がスムーズとなるために、実際の腐食環境としては2~10倍程度の厳しさとされます。

参考データ:ロシアの科学者トマショフは、腐食速度は水膜厚さの影響を受け、1μm程度のとき最も厳しいと予測した(上図1966年)。

2.湿潤面に直接塗装できる「ウルティモ」

腐食対策での「塗装」は、簡便かつ長期的に耐久できる、コスト面でも最も優れた工法の一つです。
しかし、塗料は濡れた面に対しては密着しなかったり、水を巻き込んで剥がれたり割れたり錆びたりと、濡れている箇所にそのまま補修できる簡便な材料や工法は少ないのが現状でした。

そのため、メンテナンスの際は乾燥させることが大前提となっていましたが、乾燥させるためには設備の停止が余儀なくされました。しかも、場合によっては乾燥するまでに3~4日かかることもあります。
できれば運転中や供用中でも補修したいシーンは多くあると思われますが、実際には難しい状況でした。

そんな課題を克服したのが、湿潤面用防食塗料「ウルティモ」です。

 



結露で濡れた配管に直接「ウルティモ」を塗装

結露で濡れた配管のフランジにも、無理なく塗装できる。

 

ウルティモは、塗料に超疎水性能を付与することで、表面にある水分を押し出しながら硬化していくので、通常の乾燥している表面に塗装する場合に近い状態で、刷毛塗りやローラー塗装が可能となります。
また、水分と接触しても塗膜が剥がれたり割れたりせず、強固な膜を形成するので、塗装後には優れた遮断性を発揮し、長期の防錆力を実現します。

3.「ウルティモ」の導入事例・試験塗装結果

■ プラント構内の事例

兵庫県にある化学プラントの結露配管にて、湿潤面用塗料ウルティモの試験塗装を行いました。
一般的な変性エポキシ樹脂塗料を乾燥膜厚250μmとなるよう塗装を試みましたが、写真のようにうまく塗り広げることが困難でありかなり労を要しました。
一方、同様の条件においてウルティモは一様に塗り広げる事ができました。

 

 

この設備を約6ヵ月放置したところ、一般的な変性エポキシ樹脂塗料ではさびが多く発生しています。これは、塗料中に巻き込まれた水分がさびを促進させ、さらには塗料が膜にならなかった部分が散在したため、外部との遮断性能にばらつきが生じたためさびが発生したものと考えられます。
一方、ウルティモは安定した防錆力を発揮し、塗布した時のように綺麗な状態を保持しています。

 



一般的な変性エポキシ樹脂塗料

ウルティモ

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腐食が想定以上に進行。その原因は「塩害」では? /kp-stream/insights/6/ Tue, 19 Jan 2021 02:04:29 +0000 /?post_type=insights&p=1974

海から離れた場所であっても、想定以上に腐食が進行している場合「塩害」の可能性が考えられます。
今回は、塩害と海からの距離の関係性、塩分の影響を調べる海塩粒子の付着量の測定法などを交え、塩害対策に繋がる塗料のご紹介をします。

1. 補修までの周期が短くコストがかさむ…実は塩害の可能性

思っている以上に、施設や設備の腐食が進んでいると感じることはありませんか?
それは塩害の影響かも知れません。塩分の存在は、鋼材の腐食を早めます。
腐食が早まると保全計画外のメンテナンスが必要になり、メンテナンス費用以外にも施設や設備の稼働率に影響してコストの増大を伴います。
建築から50年を超えるプラント施設なども多い現在、経年劣化に加えて塩害のダメージを受けている場合もあります。

2. 腐食進行の原因 海岸から離れた場所でも起こりうる「塩害」

●塩害と海からの距離の関係性

塩分は、それ自体が水に溶けやすい性質であり、水溶液は電解質で腐食電流の流れを大きくするため、鋼材の腐食が大きくなります。
さらに海浜では高湿度のため、濡れる時間が長くなることも腐食しやすい要因です。

●内陸施設でも塩害による腐食が発生

海塩粒子の付着によって生じる腐食は、海岸からの距離と強い関係があると言われています。
海塩粒子は海からの風によって運ばれ、細かい浮遊化した海塩粒子は軽い為、遠くまで飛ばされて雨が当たらないところに留まります。
このような場所・条件では、塩害が起こりやすくなります。
また、海岸から離れた内陸の施設においても、台風などの強風により、海塩粒子が飛来します。
この飛来塩分は、設備の水平面、部材の裏面など、雨水によって流れ落ちにくい部位、いわゆる雨掛かりではない場所に滞留することが多くあります。
また、諸説ありますが、鉄塔の上などの高所は細かい粒子が落ちずに留まり、さびに繋がりやすくなります。

3. 塩害の有無を把握する簡易測定法

塩害対策として適切な補修や処置を行う前に、腐食の原因が「塩分」か判断するため、海塩粒子付着量を確認する必要が出てきます。
測定方法としては各種ありますが、ここでは簡単に手に入る材料で比較的、手軽に実践できる「海塩粒子付着量の簡易測定法」をご紹介します。
今回ご紹介した「海塩粒子付着量の簡易測定法」は、特別な機器を使わないため比較的、手軽に実施出来ます。

 

一般的に塗装においては、50mg/㎡以上を塩害の目安としております。
より高精度な測定・調査については関西ペイント社へお問い合わせください。

●ガーゼ拭き取り塩化物イオン検知管法を用いた海塩粒子付着量の測定

【測定に必要な物】

 

  • 脱イオン水(または蒸留水) ※1個所の測定に150cc必要です。
  • 局方ガーゼ:30×30cm ※1個所につき3枚必要です。
  • 薄手のゴム手袋(炊事用・手術用等)
  • 幅20mm程度のマスキングテープまたはマグネットシート
  • メジャー
  • ポリビーカー:250ml
  • 北川式 塩素イオン検知管(Cl-)

関西ペイント社へお問い合わせください。

●試料の採取方法

 

  1. 測定部をメジャーにて0.25平方メートル(※)を正確に測り、マスキングテープ(またはマグネットシートにて仕切る。※例:50×50cm等
  2. ゴム手袋をして【脱イオン水100ml】を250mlポリビーカーに入れる。
  3. ガーゼをたたみ、ポリビーカーの水で湿らせる。
  4. 湿らせたガーゼで測定面を平行方向に拭う。
    !この時、外にはみ出さないよう、水をたらさないよう十分に注意すること。
  5. ガーゼを(2)の脱イオン水でよくすすぐ。
  6. 拭う方向を変えて(4)(5)の操作を繰り返し行う。

※飛来塩分は、設備の水平面、部材の裏面など、雨水によって流れ落ちにくい部位に滞留することが多く、各部位ごとにランダムに計測することが望ましい。

 

※採取後、使用したゴム手袋の表面を【残りの脱イオン水50ml】でよく洗い、ポリビーカー内の脱イオン水を150mlとする。

●測定方法

検知管の両端(a・b)をヤスリで切り取り、先ほど作った試料液の中に検知管の一端(a)を入れる。

すると試料液は下端(a)より次第に進入し、上端にいたるが、その際、試料液中に塩素イオンがあれば、下端より白色の変色層ができる。

試料液がガラス管内の検知剤の上端(綿栓)まで浸透したら、検知管を取り出す。図を参照に、検知管の濃度目盛りと変色層の境界で読み、測定値とする。(塩素があれば、着色層が茶色→白に変色する)

 

たとえば、本測定法によって100ppmの塩素イオン濃度がでれば、これがそのまま塩分の濃度(=100mg/m2)の数値ということになる。

4. 塩害対策には腐食の進行を遅らせる工法を

塩害対策としては、腐食の進行を遅らせる工法の選択が重要であり、さびの発生源である水分や塩分の侵入を遮断できる厚膜型の塗装がポイントとなります。
関西ペイントでは厚膜塗装が特徴で工程短縮にもつながるエスコNBマイルドHを使用した工法を推奨しています。

 

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